この記事のポイント2点
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リースバックを利用する際に想定されるトラブル
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リースバックの利用する際の注意点と対策
このページのもくじ
リースバックのデメリット
リースバックとは、不動産会社などの業者にマイホームなどの不動産を売却し、新たな所有者になった売却先と賃貸借契約を締結する仕組みです。業者にマイホームを売却することでまとまったお金が手に入りつつも、賃貸借契約を締結することで売却後も住み続けられます。
そのため、お金が必要でマイホームを売却しなくてはならないものの、住み続けたい人にはリースバックの活用をおすすめします。
しかし、全ての人におすすめではありません。
リースバックには以下のようなデメリットを伴うため、デメリットを十分に理解した上で利用するかどうかを決めることが大切です。
- 買取価格が相場と比べて低い
- 契約を解消される可能性がある
- 賃料設定が相場よりも高い
- 必ず利用できるとは限らない
- 所有権が買主に移転する
- 買い戻しが容易ではない
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
買取価格が相場と比べて低い
リースバックでは、不動産会社などの業者がマイホームを買い取ってくれます。一般的なマイホームの売却と同じくらいの価格で買い取ってもらえると思っている人もいるかもしれませんが、リースバックの買取価格は相場と比べて低いことが多いです。
リースバックの買取価格が相場よりも低い理由は、賃貸物件として運用する際のリスクを抑えるために利回りを重視したい、また、運用が終わって売却する際のリスクを抑えるために安く買い取りたいという理由が挙げられます。
契約を解消される可能性がある
一般的な賃貸借契約では、貸主と借主の間で普通借家契約を締結します。普通借家契約は貸主よりも借主の権利を尊重するため、余程の理由がない限りは契約期間が満了しても契約を継続することが可能です。
しかし、リースバックの場合、定期借家契約を締結するのが一般的です。定期借家契約では契約書に記載されている契約期間が満了した後は、再契約することも可能ですが、再契約が保証されているわけではありません。
契約期間が満了した後は、借主が契約を継続したくても継続できない可能性があることを十分に理解しておきましょう。
賃料設定が相場よりも高い
賃料設定を相場よりも高く設定すると需要が低くなるため、空室リスクを軽減するための賃料設定をする際は、相場と同程度または相場よりも低く設定するのが一般的です。
しかし、リースバックの場合、借主が既にいる状況なので賃料設定が強気である、利回りを重視して賃料が設定されるため、相場よりも高くなります。
そのため、リースバックを利用する際は、相場よりも高い賃料で借りることになるという点に注意が必要です。
必ず利用できるとは限らない
リースバックは必ず利用できるとは限りません。その理由は、抵当権が設定されたままではマイホームを自由に売却できないためです。
住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合、金融機関は万が一住宅ローンの返済が滞った場合に備えて、不動産を売却して残債を回収できるように抵当権を設定します。
抵当権は、住宅ローンを完済することで抹消できます。リースバックの買取価格がローンの残債を上回っていれば、売却代金を返済に充てることで抵当権を抹消することが可能です。また、下回っている場合でも、自己資金を充てて返済できれば抵当権を抹消できます。
しかし、自己資金を充てても返済できない場合は抵当権を抹消できず、不動産を売却できないため、必ず利用できるとは限らないことを把握しておきましょう。
所有権が買主に移転する
マイホームを所有したまま融資限度額の範囲内で融資を受けられるリバースモーゲージの場合、所有権は移転しません。しかし、リースバックの場合、マイホームを業者に売却するため、所有権が業者に移転します。
所有権が買主に移転するということは、所有権を有している人物に課される固定資産税や管理費、修繕積立金などが買主負担になるということです。
そのため、リースバックを利用した場合は、ランニングコストの負担を軽減できるものの、自由にリフォームやリノベーションができません。自由に不動産を利用できなくなる点に注意が必要です。
買い戻しが容易ではない
リースバックの契約書に買い戻しの特約が盛り込まれている場合、一度売却したマイホームを買い戻すことが可能です。
しかし、買い戻すことは容易ではありません。その理由は、買い戻す際の価格は買取価格と同額ではないためです。
買取価格を買主に渡すことで、マイホームを買い戻せると考えている人もいるかもしれませんが、買い戻しの価格と賃貸中に支払った賃料の合計金額は買取価格を上回るのが一般的です。お金に困ってマイホームを手放したことを考慮すると、売却時と比較して買い戻し価格が高くなるというのは、買い戻しのハードルの高さを意味していると言えるでしょう。
リースバックで想定されるトラブル
リースバックを利用する場合には、デメリットから想定されるトラブルについての理解を深めておくことも大切です。
リースバックで想定されるトラブルとして、以下の4つが挙げられます。
- 買取価格が相場より大幅に安かった
- 退去を迫られた
- 賃貸サポートが不十分だった
- 買い戻しができなかった
それぞれのトラブルについて、詳しく説明していきます。
買取価格が相場より大幅に安かった
買取価格は業者によって異なります。1社だけに査定を依頼した場合は、相場よりも大幅に低い買取価格でも気づきません。
買取価格を高くするためには、1社だけでなく複数社に査定を依頼し、最も高い査定結果を提示してくれた業者に買い取ってもらいましょう。
退去を迫られた
リースバックで定期借家契約が締結された場合、契約満了後に再契約は可能ですが、貸主が必ず応じてくれるとは限りません。契約期間満了後に退去を迫られる可能性もあります。
契約期間中の賃貸は約束されている一方、契約満了後は約束されていないため、契約時には再契約の有無について確認する定期借家契約ではなく、普通借家契約を締結しましょう。
賃貸サポートが不十分だった
賃貸物件を運用するオーナーは、入居者が満足して日々の生活を送れるように適宜修繕を実施しなくてはなりません。借主に原因のある劣化を除いては、基本的に貸主負担で修繕が実施されます。
しかし、リースバックを提供している業者の中には、適切な修繕を実施していない、修繕費用を借主負担にしているところもあります。
賃貸サポートが不十分な業者のリースバックを利用すると、後でトラブルが生じる恐れがあるため、サポート体制や口コミを確認しておきましょう。
買い戻しできなかった
リースバックは買い戻しできるものと考えている人もいるかもしれませんが、買い戻しが保証されているわけではありません。
リースバックの契約書に買い戻しの特約が記載されていない場合は、買い戻しできません。また、買い戻しが特約に期限が設けられていて、買い戻しできない可能性もあります。
買い戻しを検討している人は、買い戻しの特約が契約書に記載されているか、条件や期限の設定に問題がないか確認してから契約しましょう。
リースバックを利用する際の対策
リースバックは危険ではありませんが、デメリットや想定されるトラブルを踏まえた上で対策を練ってから利用することをおすすめします。
リースバックを利用する際の対策には、以下の2つが挙げられます。
- 物件の相場を把握する
- 契約内容をしっかり確認する
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
物件の相場を把握する
リースバックに対応しているのが1社だけの場合、提示された買取価格が適正価格なのか分かりません。分からないまま契約すると損をする可能性があるため、物件の相場を事前に把握した上で査定を依頼することが大切です。
物件の相場は、立地や築年数などの条件の似ている物件がいくらで売り出されているのかを調べることで、おおよそ把握できます。また、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営するレインズ・マーケットインフォメーションを利用すれば、不動産の成約価格を確認できるでしょう。
契約内容をしっかり確認する
リースバックを利用する際には、契約後のトラブルを回避するためにも契約内容を事前にしっかり確認しておくことが大切です。
例えば、以下のような項目です。
- 買取価格
- 賃料設定
- 普通借家契約または定期借家契約
- 買い戻し特約
- ランニングコストの負担
特に買い戻しを検討している人にとっては、買い戻し特約の有無は重要な項目となるため、必ず確認しましょう。
まとめ
リースバックを利用した場合、必要なお金を確保できるだけでなく、愛着のある我が家から引っ越さずに済み続けることが可能です。しかし、リースバックにはデメリットも伴うため、デメリットの詳細や想定されるトラブルなどを踏まえた上で利用しましょう。
リースバックを提供する不動産会社などの業者数は多く、業者ごとに買取価格や条件などが異なるため、複数の業者で比較検討することが大切です。
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