この記事のポイント4点
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住宅ローンを借り換える理由
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住宅ローンの借り換えが正しい選択肢なのか
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住宅ローンを借り換えるメリット3つ
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住宅ローンを借り換えるデメリット3つ
このページのもくじ
住宅ローンの借り換えとは
住宅ローンの借り換えとは、購入時に契約した金融機関とは別の金融機関で住宅ローンを契約し、契約中の住宅ローンを一括返済することです。契約中の住宅ローンの残債と同額を別の金融機関で借りて一括返済した後、新しい住宅ローンの返済を開始します。
契約条件は借り換え後の住宅ローンに準拠するため、元の契約よりも借り換え後の条件が優れている場合のみ有効な手段です。
住宅ローンを借り換える理由
住宅ローンを借り換える主な理由として、以下の3つが挙げられます。
- 返済負担を軽減したい
- 金利差による不安をなくしたい
- 付帯サービスを拡充したい
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
返済負担を軽減したい
住宅ローンを契約する際、返済額を一定に保ちたい、金利上昇の影響を受けたくないなどの理由から、固定金利を選択する方も少なくありません。しかし、固定金利を選択したものの金利が下落した場合、そのままでは金利が変動しないので損をします。
上記のように最適な金利プランを契約時に選択したつもりでも、住宅ローンの返済期間は長く、返済中に金利が変動して状況が大きく変化することは珍しくありません。
特に日銀の大規模な金融緩和政策によって、金利が大きく下落し、低金利で推移しており、返済負担を軽減するために住宅ローンの借り換えを検討する方も多いです。
借り換えでは金利差による恩恵を受けられるわけではありません。借り換えによって返済期間を長く設定することにより、1回あたりの返済額を抑えられるという理由で、借り換えを検討する方もいます。
金利差による不安をなくしたい
変動金利と固定金利では、変動金利のほうが固定金利よりも金利が低く設定されているのが一般的です。そのため、少しでも金利を低くすることによって返済負担を軽減したいという理由から、変動金利を選択する方も少なくありません。
しかし、変動金利を選択したものの金利が上昇した場合は、そのままでは金利上昇によって返済負担が大きくなるので損をします。
現在は日銀の大規模な金融緩和政策によって金利が低く推移していますが、いつかは金融緩和政策が終了します。金融緩和政策の終了に怯えながら返済を続けるよりも、固定金利に借り換えることで金利差の不安をなくしたいという方も多いです。
付帯サービスを拡充したい
住宅ローンを契約する際、団体信用生命保険(団信)という保険に加入するのが一般的です。団信に加入すれば、住宅ローンの契約者が何らかの理由によって返済が困難になった場合、保険料を住宅ローンの返済に充てることが可能です。
契約者は団信に加入することで万が一の事態に備えられ、金融機関も返済を滞納されるリスクを回避できるので、双方にとって加入することにメリットがあります。
契約時に決めた団信の保障プランを途中で変更することはできません。変更するためには住宅ローンを借り換えなくてはならないため、付帯サービスを拡充させたいという理由で、住宅ローンの借り換えを検討する方も多いです。
借り換えが正しい選択肢とは限らない
住宅ローンの借り換えによって、返済負担を軽減したい、金利差による不安を解消したい、付帯サービスを拡充させたいという目的を達成できる可能性はあります。しかし、必ずしも住宅ローンの借り換えが正しい選択肢とは限りません。
その理由は、住宅ローンを借り換える場合は諸費用が発生し、借り換えによって受けられる恩恵が小さい場合は、借り換えたほうが損をする可能性があるためです。
住宅ローンを借り換えたほうが良いとは言い切れないため、借り換えによって受けられる恩恵や諸費用などを踏まえながら判断することが大切です。
住宅ローンを借り換えるメリット
住宅ローンの借り換えが正しい選択肢かどうかを判断するためには、借り換えのメリット・デメリットを事前に把握しておくことが大切です。
住宅ローンを借り換えるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 金利の種類を変更できる
- 返済負担を軽減できる
- 団信の内容を拡充できる
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
金利の種類を変更できる
住宅ローンの金利の種類は、大きく以下の3つに分類されます。
- 変動金利
- 固定期間選択型
- 全期間固定金利
変動金利とは、金利変動に応じて適用される金利が見直されるため、返済額も適宜変化するプランです。固定期間選択型は5年や10年といったように一定期間は金利が固定されるプランで、全期間固定金利は契約時から完済時まで金利が固定されるプランです。
住宅ローンを契約する際は、契約時から完済時まで金利の種類を変更できません。そのため、金利の種類を変更したい場合は、住宅ローンを借り換える必要があります。
金利上昇に不安を抱えている場合は変動金利から固定金利、金利が下落傾向にある場合は固定金利から変動金利に借り換えることで、金利変動のリスクを軽減できるでしょう。
返済負担を軽減できる
固定金利を選択していて金利が下落傾向にある、あるいは変動金利を選択していて金利が上昇傾向にある場合、そのまま返済を継続すると、多く返済することになるので損をします。
住宅ローンの借り換えで低い金利が適用された場合、金利上昇を回避できた場合は、返済負担を軽減することが可能です。家計に余裕が生まれることで、子どもの教育費や老後の生活費を確保しやすくなるでしょう。
また、最初の契約で返済期間を短く設定したことで、家計を圧迫して悩んでいるという方も少なくありません。そのような場合、借り換えで返済期間が長くなれば、毎月の返済負担を軽減できます。
ただし、返済期間を長くする場合は毎月の返済を抑えられるものの、返済総額が大きくなる可能性があるため、よく考えてから判断しましょう。
団信の内容を拡充できる
団信の保障内容はさまざまです。住宅ローンの契約者が死亡した際に、支払われた保険金で残債を完済できる一般的な団信の場合、上乗せ金利なしで加入できるケースが多いです。
しかし、保障内容が死亡時にしか対応していない場合、日本人の死因上位に位置するがん、脳卒中、急性心筋梗塞といった3大疾病に罹患しても保障を受けられません。
住宅ローン契約時に加入した団信の保障内容を、途中で変更することはできないため、保障内容を充実させるには借り換える必要があります。
3大疾病に対応、糖尿病や肝疾患といった生活習慣病などにも対応させれば、万が一の事態に備えられますが、基本的に充実させた分だけ金利が上乗せされるので注意してください。
住宅ローンを借り換えるデメリット
住宅ローンを借り換えるデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 既存の住宅ローンの完済が必須
- 借り換えには諸費用が発生する
- 審査が難しい可能性がある
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
既存の住宅ローンの完済が必須
住宅ローンは、同時に2つの契約を申し込むことが原則できません。そのため、住宅ローンを借り換える際は、契約中の住宅ローンを完済する必要があります。
また、実際の借り換えにおいては、契約中の住宅ローンを完済する日と新しい住宅ローンの借り換える日を合わせなくてはなりません。
新しい住宅ローンを契約する場合は、契約中の住宅ローンの金融機関が不動産に設定した抵当権を抹消し、借り換え先の住宅ローンの金融機関が新たに抵当権を設定します。住宅ローンの借り換えには、何かと手間と時間がかかるということを理解しておきましょう。
借り換えには諸費用が発生する
住宅ローンを借り換える場合は、契約中の住宅ローンを一括返済するための手数料、新規に住宅ローンを契約するための手数料の、2回分の諸費用が発生します。
契約中の住宅ローンを一括返済するための手数料は以下の通りです。
- 繰り上げ返済手数料:数千円~数万円程度
- 抵当権抹消登記費用:登録免許税(1つの不動産につき1,000円)、司法書士報酬
繰り上げ返済手数料は、金融機関または返済方法(ネット、窓口など)によって変化します。抵当権抹消費用は1つの不動産につき1,000円で、一般的に土地と建物の両方の抵当権を抹消するので、2,000円かかります。また、抵当権抹消登記を登記の専門家である司法書士に依頼した場合は、5~10万円程度の報酬を支払わなくてはなりません。
新規に住宅ローンを契約するための手数料は以下の通りです。
- 事務手数料:数万~数十万円または借入金額の0.1~0.2%程度
- 保証料:数万~数十万円または住宅ローン金利に0.2%程度上乗せ
- 印紙税:住宅ローンの借入金額に応じて2~6万円程度
- 抵当権設定登記費用:登録免許税(借入金額の0.1%)、司法書士報酬
最初に住宅ローンを契約した際と同じ手数料がかかるので説明は割愛しますが、おおよそ数十万円程度の手数料がかかると理解しておきましょう。
審査が厳しい可能性がある
新規に住宅ローンを申し込んだ際と借り換え時の申込者の属性が大きく変化していると、審査に落ちる可能性があるので注意してください。
例えば、新規に申し込んだ際よりも申込者の収入が下がっている、転職からの期間が短い、加齢によって健康状態が悪化しているなどのケースでは、審査に不利になります。
審査に通らなかったとしても、金融機関は理由を開示してくれません。もし、転職する際は借り換えてから転職する、健康状態が悪化している場合はワイド団信に加入するといった工夫をすれば、審査を有利に進めやすくなるでしょう。
住宅ローンを借り換える際のポイント
住宅ローンを借り換える際は、諸費用がかかるため、借り換えで十分な恩恵を受けられるか、事前に確認しておくことが大切です。
諸費用を考慮しても、十分な恩恵を受けられる目安として、以下の3つが挙げられます。
- 残存する返済期間が10年以上あるか
- 残債が1,000万円以上あるか
- 借り換え前と金利差が1%以上あるか
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
残存する返済期間が10年以上あるか
契約中の住宅ローンの残存する返済期間が長いほど、借り換えた場合に受けられる恩恵が大きいです。残存する返済期間が10年以上あれば、借り換えによる返済負担を軽減できる可能性が高いでしょう。
残存する返済期間が10年未満の場合は、諸費用の負担を考えると、そのまま借り換えずに完済したほうが良いケースが多いため、10年以上を1つの目安としましょう。
残債が1,000万円以上あるか
返済期間と同様、契約中の住宅ローンの残債が多いほど、借り換えた際の恩恵が大きいです。残債が1,000万円以上だと、借り換えによる返済負担を軽減できる可能性が高いでしょう。
残債が1,000万円未満の場合、諸費用の負担を考えると借り換えのメリットが小さいので、今の銀行と交渉して金利を下げてもらったほうが効果的でしょう。
借り換え前との金利差が1%以上あるか
借り換え前の住宅ローンの金利と借り換え後の住宅ローンの金利差が1%以上ある場合は、借り換えによって恩恵を受けられる可能性が高いです。
3つの条件のうち1つだけが条件に該当しているケースでは、借り換えによる恩恵が小さい可能性があるので注意が必要です。
3つの条件を多く満たしているほど借り換えによって受けられる恩恵が大きいため、条件を満たしている方は、積極的に借り換えを検討してみましょう。
住宅ローンの借り換える際の注意点
住宅ローンを借り換える際は、借り換えでの失敗を回避するために、以下の4つの注意点を押さえておくことが大切です。
- 借り換えにかかる諸費用を考慮する
- 将来的な金利上昇を考慮する
- 住宅ローン控除の適用条件を考慮する
- その他の借入状況を確認する
それぞれの注意点について詳しく説明していきます。
借り換えにかかる諸費用を考慮する
住宅ローンを借り換える際は、数十万円程度の諸費用がかかります。そのため、借り換えを検討する際は、住宅ローンの借り換えによって諸費用以上の恩恵を受けられるかどうかを、事前に把握しておくことが大切です。
そのためにはシミュレーションが欠かせません。各金融機関では、住宅ローンの借り換えのシミュレーションツールを用意しているため、ツールを使って恩恵を受けられるかどうか確認しておきましょう。
将来的な金利上昇を考慮する
住宅ローンの借り換えの際に選択した金利の種類によっては、将来的な金利上昇によって返済負担が大きくなる可能性があるので、注意が必要です。
例えば、変動金利から固定金利に借り換えた場合、固定金利は変動金利よりも金利が高めに設定されているため、返済額が大きくなる可能性があります。
また、固定金利から変動金利に借り換えた場合、借り換え後の金利が低くなることによって返済負担は抑えられても、将来的に金利が上がれば返済額が大きくなるでしょう。
固定金利への借り換えでは繰り上げ返済によって元本を早めに減少させる、変動金利への借り換えでは金利上昇に備えて貯蓄を蓄えておく、といった対策をとればリスクを軽減できるでしょう。
住宅ローン控除の適用条件を考慮する
住宅ローン控除は、10年以上の償還期間があることといった一定の条件を満たさなければ、利用できません。そのため、住宅ローンの借り換えで住宅ローンの返済期間が10年よりも短くなった場合は、住宅ローン控除を適用できなくなるので注意が必要です。
住宅ローン控除の仕組みは複雑なので、借り換えによって控除が減らないか気になる方は金融機関に確認してから借り換えるか判断しましょう。
その他の借入状況を確認する
住宅ローン以外の借入が多いと、住宅ローンを借り換える際の審査で不利になる可能性が高いので、注意が必要です。
例えば、カードローンの借入が多いようなケースでは、「住宅ローンの返済が厳しいので、お金を借りて返済しているのでは?」と金融機関に勘繰られてしまいます。また、ローンの返済を遅延しているようなケースでは、信用情報に問題があるという理由で、審査に落ちる可能性が高いです。
他の借入が多い方は、借り換えを申し込む前に借入額を少しでも減らしておきましょう。
まとめ
返済負担を軽減したい、金利差による不安をなくしたい、付帯サービスを拡充したいなどのさまざまな理由で住宅ローンの借り換えを検討している方も多いでしょう。
しかし、住宅ローンの借り換えが最善の選択肢とは言えないため、メリット・デメリットやポイント・注意点などを踏まえながら、本当に借り換えるべきなのかどうか判断することが大切です。
マイホームに住み続けたいものの、住宅ローンの返済が厳しく、悩んでいるという方には、住宅ローンの借り換えではなく、リースバックという方法もあります。
リースバックでは、リースバック会社にマイホームを売却してまとまったお金を手に入れ、リースバック会社に賃料を支払うことで住み続けることが可能です。目的によって最適な選択肢が異なるため、よく考えてから選びましょう。
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