この記事のポイント5点
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リースバックとは
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リースバックの契約の流れ
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リースバック利用時に必要な書類
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リースバック契約で締結する契約書
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リースバック契約時の確認ポイント
このページのもくじ
リースバックとは
子どもの大学進学の資金や病気・ケガなどの治療費といったように、まとまったお金が急に必要になることも少なくありません。
そのようなシーンで、まとまったお金を確保する手段として登場するのがリースバックです。リースバックとはどのような契約なのかを詳しく見ていきましょう。
売却+賃貸が1つになった契約
リースバックは、売買契約と賃貸借契約が1つになった契約形態です。売主はマイホームの売却で所有権を失いますが、買主であるリースバック業者と賃貸借契約を締結することで家賃を支払いながらマイホームに住み続けることができます。
一般的な不動産売却の場合、まとまったお金が手に入るものの、別の住まいを探さなくてはなりません。しかし、リースバックだと、まとまったお金を手に入れながらもマイホームに住み続けられるでしょう。
リースバックの契約期間
リースバックの契約期間は、リースバック業者との賃貸借契約締結時に普通賃貸借契約と定期賃貸借契約のどちらを選択したかによって、以下のように異なります。
- 普通賃貸借契約:2年更新
- 定期賃貸借契約:2~5年程度(更新なし)
普通賃貸借契約は契約更新が原則である一方、定期賃貸借契約には契約更新がありません。貸主との交渉を経て再契約することは可能ですが、再契約を拒否される可能性がある点に注意が必要です。
リースバックの契約の流れ
リースバックは、通常の不動産売却とは一部契約の流れが異なります。リースバック契約を速やかに不備なく進めるためには、事前にリースバック契約の流れを把握しておくことが大切です。
リースバック契約の流れは、以下の7つのステップです。
- リースバック業者の比較検討
- 相談・仮査定
- 仮査定結果の提示
- 本査定
- 契約条件の提示
- リースバック契約の締結
- 契約の成立・賃貸開始
それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
1. リースバック業者の比較検討
まずは、リースバック業者の比較検討をします。リースバックを提供する業者は数多くあり、リースバック業者ごとに不動産の買取価格や家賃設定などの契約条件が異なるので注意が必要です。
1社だけに相談した場合、契約条件が利用者に有利または不利なのかの判断ができません。自分に合う・有利な条件で契約を締結するためにも、相談先のリースバック業者をいくつかピックアップしましょう。
2. 相談・仮査定
リースバック業者をいくつかピックアップした後は、相談・仮査定に移行します。相談時に以下のような項目を確認されるので、すぐに答えられるように確認しておきましょう。
- 所有物件の状況
- 希望売却価格
- 希望家賃
所有物件の状況を踏まえた上で、提案した希望売却価格や希望家賃に無理があった場合は、相談の時点で交渉が決裂します。特に問題がない場合は仮査定を依頼しますが、仮査定では以下のような項目を確認されるので、あわせて確認しておきましょう。
- 固定資産税額
- 管理費・共益費(マンションの場合)
- 修繕積立金(マンションの場合)
3. 仮査定結果の提示
仮査定を依頼した後は、サブリース業者が仮査定結果を提示します。仮査定とは、現地確認を行わない査定方法で、取引実績や市場相場などから算出したおおまかな目安です。
仮査定結果と相談者の希望条件とのすり合わせを行います。仮査定結果に納得した場合は、次の本査定に移行します。
4. 本査定
本査定とは、実際にリースバック業者が不動産を訪問して行う査定方法です。物件の状態や図面との照合、境界線の確認などを行います。リースバック業者によっては、建築士といった専門家が物件を訪問します。
仮査定は実際に物件を確認していないため、仮査定結果と本査定結果に差が生じることも少なくありません。本査定の結果を踏まえて、最終的な売却価格や家賃が確定します。
5. 契約条件の提示
本査定の完了後は、リースバック業者から不動産の買取価格や家賃設定などの契約条件が提示されます。
買取価格が高かったからと言って安心してはいけません。買取価格が高くても家賃設定が高ければ、月々の住居費の負担が大きくなる点に注意が必要です。
また、契約期間や買い戻しの可否などについての契約条件もあわせて提示されます。内容を総合的に判断し、契約するかどうかを決めましょう。
6. リースバック契約の締結
提示された条件に納得した場合、リースバック契約の締結に進みます。リースバック業者に契約の意思を伝えた後は、必要書類の確認や契約日の日程調整です。
売買契約と賃貸借契約の2種類の契約を交わすほか、不動産の買い戻しを希望する場合は再売買の予約契約を交わすこともあります。
リースバック契約の締結時には、登記費用や印紙税、保証金などの支払いが必要になるため、事前にどのような費用がかかるのかを確認しておきましょう。
7. 契約の成立・賃貸開始
リースバック契約を締結した後は、契約の成立・賃貸開始に移行します。契約の成立では、買主であるリースバック業者から売主に売却代金が支払われます。
売却代金の支払いが完了すると売買契約が成立し、不動産の所有権は売主から買主であるリースバック業者に移行するのです。
賃貸借契約も売買契約と同時に締結することから、売却代金の支払いが完了すると同時に毎月賃料を支払って自宅に住むことになります。
リースバック利用時に必要な書類
必要な書類に不備があった場合または書類の手配に時間がかかると、リースバック契約を速やかに締結できません。
リースバック契約を速やかに締結するには、査定を依頼する際や契約を締結する際などにどのような書類が必要なのかを事前に把握・準備しておくことが重要です。
リースバック利用時に必要な書類を詳しく見ていきましょう。
査定時に必要な書類
リースバック利用で査定を依頼する際には、以下のような書類が必要です。
- 身分証明書
- 住民票
- 固定資産税通知書
- 収入証明書
身分証明書や住民票は、本人確認または居住地確認などのために使用します。身分証明書は運転免許証やマイナンバーカード、保険証などです。住民票は自治体の窓口で手に入るほか、マイナンバーカードを所有している方はコンビニで発行することも可能です。
固定資産税通知書は、不動産の評価額を確認するために使用します。毎年1月1日における不動産の所有者に対し、不動産を管轄している自治体から4~5月に送られてきます。固定資産税がいくらかかるのか確認するためにも使用するので探しておきましょう。
収入証明書は、リースバック契約の締結後に問題なく家賃を支払えるかを判断するために使用します。勤務先から受け取る源泉徴収票や年金通知書などを用意しておきましょう。
契約時に必要な書類
リースバック利用で契約を締結する際には、以下のような書類が必要です。
- 実印
- 印鑑証明書
- 権利証
リースバック契約を締結する際に必要な書類は、一般的な不動産売却と基本的に同じです。実印は、売買契約書や賃貸契約書などの押印で使用する印鑑です。印鑑証明書は、契約時の押印で使用した印鑑が登録されているものかどうか証明するために使用します。自治体の窓口、または、マイナンバーカードを所有している方は、コンビニで発行することも可能です。
権利証は、売主が本当に不動産の所有者なのかを確認するために使用します。登記識別情報通知や登記済証などが権利証に該当します。これらの書類は自宅を取得した際に一度だけ発行される書類で再発行できません。万が一紛失していた場合は、売買契約の締結に支障が生じてしまうので、リースバック業者にあらかじめ相談しておきましょう。
その他必要な書類
リースバックを利用する際は、以下のような書類が必要になる場合もあります。
- ローン残高証明書・抵当権抹消書類
- 自宅の図面
- 建築確認通知書
- 管理規約・総会議事録
住宅ローンの返済が残っている場合には、残債を確認するためのローン残高証明書や抵当権抹消書類が必要です。融資を利用している金融機関に問い合わせましょう。
自宅の図面や建築確認通知書などは、建築時に建築会社から不動産会社から受け取ります。増改築によって登記の内容と異なっていないか、建築基準法の規定に適合しているのかを確認するために使用する場合があります。
リースバックを利用するのがマンションの場合は、管理規約や総会議事録などが必要です。管理規約にはマンションに居住する場合のルールや共用部分の範囲などが記載されており、総会議事録にはマンションの収支決算や事業計画、長期修繕衝立金の積み立て状況などが記載されています。
リースバック契約で締結する契約書
リースバック契約では、売買契約書と賃貸借契約書の2つの契約を締結します。それぞれがどのような内容の書類なのかについて詳しく見ていきましょう。
売買契約書
売買契約書とは、不動産の売主と買主間で締結する売買契約の内容を書面化したものです。売買契約書には、以下のような項目が記載されています。
- 売買価格
- 決済の日程
- 買い戻しの条件
売買価格とは、買主が売主に支払う売却代金のことです。リースバック契約では売買価格が高いほうが良いと考えている方も多いと思いますが、一概に言い切れません。その理由は、売買価格を基準に買い戻しの価格や家賃が決まるためです。
売買価格が高いほど、家賃や買い戻しの価格が高く設定されてしまいます。売買契約は一度締結すると内容を変更できないため、よく考えてから契約を締結しましょう。
また、リースバック契約は買い戻しが必ず保証されているわけではありません。買い戻しを希望している場合には、売買契約書に買い戻しに応じる旨、有効期限や価格などを盛り込む必要があります。盛り込まれていない場合は買い戻しができない可能性があるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
賃貸借契約書
賃貸借契約書とは、物件の借主と貸主が締結する賃貸借契約の内容を書面化したものです。賃貸借契約書には、以下のような項目が記載されています。
- 契約期間・金額
- 賃貸借契約の種類
- 家賃の支払方法・期限
- 途中解約に関するルール
- 退去時の原状回復に関するルール
賃貸借契約を締結する際は、家賃以外に敷金や礼金などの支払いが生じます。敷金や礼金は必須というわけではありませんが、賃貸借契約書に記載されている場合は、それぞれ家賃の1~2ヶ月分を家賃に上乗せして支払うため、初期費用が大きくなる点に注意が必要です。
また、賃貸借契約書に記載されている家賃設定は、ずっと適用されるとは限りません。貸主は賃料を増額することができるため、契約途中の増額を想定しておく必要があります。最初は余裕があっても途中で増額されたことにより、支払いが困難になる方も少なくありません。
家賃滞納は買い戻しの権利を失う要因になるので、増額されても支払える家賃設定なのか事前によく考えてから契約しましょう。
普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の違い
普通賃貸借契約とは、一般的な賃貸借契約で締結される契約形態です。普通賃貸借契約では、貸主よりも借主の権利が尊重されます。
自動更新が原則となっているため、契約満了を理由に貸主が契約更新を拒否する場合には経年劣化によって建物を解体しなくてはならないといった正当事由が必要です。そのため、長期間賃貸したいのであれば、普通賃貸借契約が向いているでしょう。
定期借家契約とは、契約期間満了とともに賃貸借契約が終了する契約形態です。普通賃貸借契約のように契約更新を前提とするものではなく、契約期間の満了とともに貸主に物件を返さなくてはならないのです。
貸主との交渉によって再契約をすることも可能ですが、必ず再契約できるとは限りません。また、買い戻しを予定している方は、契約期間満了までに買い戻しに必要なお金を用意する必要があります。
リースバック契約では定期賃貸借契約が選択されるケースが多いため、物件の長期入居を希望している方や買い戻しを希望している方は、期間が十分な長さか確認しておくことが重要です。
リースバック契約時の確認ポイント
契約内容の確認が不十分だった場合には、自分に不利な契約条件で契約を締結してしまう可能性があるので注意が必要です。
トラブルを回避するためには、契約内容に問題がないかどうか事前に確認しておくことが重要です。売買契約書と賃貸借契約書の確認ポイントについて詳しく見ていきましょう。
売買契約書の内容
売買契約書を確認する際のポイントは、以下の通りです。
- 契約者名
- 不動産の面積や境界
- 売却代金・支払方法・日程
- 手付金
- 所有権の登記
- 買い戻しの可否・期間・金額
- 設備の確認
- 固定資産税や火災保険料の清算
本査定後に売主と買主間で話し合った内容が、きちんと売買契約書に盛り込まれているかを確認しておきましょう。
賃貸借契約書の内容
賃貸借契約書を確認する際のポイントは、以下の通りです。
- 賃貸借契約の種類
- 賃料・敷金・礼金の金額
- 賃料の支払方法・支払先・期日
- 期間中の賃料の増減
- 再契約の可否・費用
- 途中解約に関するルール
- 退去時の原状回復に関するルール
- 設備故障時の費用負担
- 保証人
- 禁止事項
- 違約金
- 火災保険
特に注意しなくてはならないのは、賃貸借契約の種類です。賃貸借契約は普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の2種類です。賃貸借契約書に記載されているのがどちらの契約なのかで、契約後に違いが生じるため、事前に両者の違いを把握しておくことが大切です。
まとめ
一般的な不動産売却では、売却した後のマイホームに住み続けることはできません。しかし、リースバック契約では、マイホームを売却してまとまった売却代金を手に入れつつ、家賃を支払うことでマイホームに住み続けることが可能です。
上記のようにリースバック契約は一般的な不動産売却とは異なるため、契約の流れも一部異なります。不備なく契約を速やかに締結するには、どのような流れで契約するのか事前に把握しておくことが大切です。
また、リースバックを利用する際に必要な書類に不備があると、契約締結に支障が生じます。契約内容の誤りに気付かず契約を締結した場合はトラブルに発展する可能性があるため、必要な書類を、余裕を持って用意し、契約内容の確認も怠らないようにしましょう。
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